看護業界全体の質向上につながる特定行為研修

特定行為研修の普及

特定行為研修の普及

特定看護師

特定看護師

特定看護師とは、「特定行為に関わる看護師の研修制度」を修了した看護師に対して使われる名称です。研修によって高度な知識や判断力が養われた特定看護師は、医師の判断を待たずに診療補助を行うことができます。
特定看護師になるためには指定の研修機関で学ぶ必要があります。特定行為は区分ごとに分類され、各特定行為に共通する内容を学ぶ「共通科目」と、区分ごとの専門性を高める「区分科目」があり、それぞれの研修を修了しなければなりません。研修においては、eラーニングによる自宅学習、筆記試験、通学による集合研修、臨床実習を行います。指定の研修機関は大学、大学院、大学病院などがあります。2018年の時点で全国に69機関あり、その数は年々増加しています。いつでも研修を受けられるわけではないので、現在募集している指定研修機関を調べた上で研修先を見つけなければなりません。施設によって募集人数や学べる内容が異なるため、まずはポータルサイトで調べてみましょう。

看護師の特定行為研修制度ポータルサイトへ行く

こちらが、「看護師の特定行為研修制度ポータルサイト」です。現在募集している研修機関や、制度の内容を詳しく知ることができます。

浸透していない

浸透していない

特定行為研修は2015年に始まりましたが、開始から約1年半がたった時点で研修修了者はわずか583名と、厚生労働省が当初想定した数字よりもはるかに低い数字となっています。制度の認知度がまだまだ低いことが理由として考えられますが、それに加えて医療機関にとってメリットがないことも大きな要因として挙げられます。この研修に対して医療機関が積極的になれない理由としてまず挙げられるのが、診療報酬上の評価に関する部分です。修了者が増えれば臨床レベルが上がり、病気の早期発見や病状悪化を阻止することが可能となります。一般人が制度について認知し、この制度の効果性を理解すれば修了者を多く雇用する病院の評判は上がるでしょう。しかし、そこまでの見通しがついていないというのが現状です。
さらに、修了者に対する待遇面の問題もあります。診療報酬上で評価されれば、給与面を優遇して待遇向上につなげることができますが、現状はそこまでに至っておらず、研修参加に積極的になれない看護師が多い状況です。

課題と求められる取り組み

課題と求められる取り組み

特定行為研修制度を普及させるための課題として挙げられるのが、「指定研修機関と受講者の確保」と「認知度の向上」の2点です。課題解決に向けた取り組みとして必要とされるのは「関係者による研修の取り組み推進」「都道府県による計画的な取り組みの推進」「制度そのものの認知度向上に向けた取り組み」です。

看護業界の課題について詳しく知りたい人へ