ワークライフバランスについて
看護師の働き方を考える
看護業界は人手不足の状況が長く続いており、それによる看護師の業務負荷増加が課題となっています。心身共に疲弊した看護師は、いずれ仕事に対するやりがいを失い退職してしまいます。人手不足が深刻になると看護ケアの質が低下するだけではなく、新人看護師に対する教育体制が整えられないことにより、医療の安全性が確保できなくなるという問題もあります。一方で、近年は医療の高度化に伴って看護ケアの専門性や質向上が求められています。そのためには研修や勉強会への参加が必要ですが、プライベートが充実していなければスキルアップに対して強い意欲を持って取り組むことはできません。
人生を歩んでいく中で、その時々で優先すべきことは変わってきます。「仕事」を優先したい時もあれば、「家族」を優先したい時もあるでしょう。また、「仕事と家庭の両立」を目指す人も多いかと思います。それぞれが持つ希望を叶えるためには、ワークライフバランスを意識した働き方が必要です。自分の都合に合った勤務時間や休暇制度、子育て支援、復職支援など、ワークライフバランス支援策を有効に活用しながら働きましょう。
ワークライフバランス支援策
日本看護協会が提示するワークライフバランス支援策には様々なものがあります。例えば、1日5時間などの限られた労働時間で働く、短時間制職員があります。労働時間だけを見ればパートタイムと同じですが、正社員として働くことで教育制度や福利厚生を利用できます。短時間勤務を可能とするためには、様々な工夫が必要です。本来1人分の業務を複数人で分担したり、複数の時間帯から希望の時間帯を選べるようにするなど、フレキシブルな対応が求められるでしょう。また、既存の勤務形態にこだわらず、現場の看護師から希望をヒアリングした上で、独自の勤務形態を新たに作る医療機関が増えてきました。積極的な職場環境の整備が、人材の定着やモチベーション維持につながります。
従来の働き方に対する負担軽減策
ワークライフバランスを意識した働き方を考える際には、夜勤や交代制勤務で働く看護師に対する負担軽減策も必要です。日本看護協会は2013年に「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を公表しました。これにより、勤務間隔や勤務の拘束時間、夜勤回数などが明確化されました。無理のない勤務編成により、看護師の心身が守られます。それは患者さんに対して質の高い看護ケアを提供することにもつながります。看護師が長く働き続けられるようになるためには、ワークライフバランスを意識したさらなる改革が求められます。